工事データの長期保管の問題点

建設業法の改正により、工事データを10年間保管する必要が生まれました。

10年間という長期になると、従来のような、現場担当者が個別に工事データを管理する方法では、パソコンの入れ替えや、担当者の異動や退職のことを考えると、数年で工事データが消えてしまう可能性が高いと言えます。

そのため、最初に行うことは、工事データの一元管理です。
個人管理では、だらしのない人や、退職した現場担当者の工事データが手に入らない事になるからです。

次は保存装置の選定ですが、思い付くのが、CD-RやDVD-Rなどの外部メディアです。
しかし外部メディアは、熱による変形や、擦り傷による劣化が想定されるので管理が大変です。
そして、管理担当者が異動や退職した場合には、保存場所が分からずに、メディアを紛失してしまう事もあるのです。

何より問題なのは、今から15年前にはMOやJazが主流でした。それが、CD-RからDVD-R、BDと移り変わったように、新しいメディアが次々に開発されることです。
これでは、メディアの管理以外に、古いメディアの再生装置と、これに接続可能な当時のパソコンを、実働可能な状態で、メディアの数だけ管理し続けなければならないという、非現実なものになってしまいます。

現実的には、管理すべきストレージを1台に絞ることです。レイド機能の付いたネットワーク上のNASに、事務所の工事データを集約するのが良いでしょう。
そして、容量がいっぱいになった時には、新しいNASへの移設を、誰かが責任を持って行う事が望ましいと言えます。

営業所が複数あるような大手の建設業者様では、営業所単位で工事データを集約するために、これを管理する担当者も営業所毎に必要になり、発注機関から工事データの提出を求められた際には、施工した営業所が分からないと、工事データの抽出が出来ない事になってしまいます。

そのため、営業所を包括して、工事データの一括管理のできる「ファイルの書庫」のようなクラウド型の仕組みが好ましいものになります。
これだと、営業所毎に担当者がいなくても、「工事が終了した担当者は、(ファイルの書庫)に工事データを保管すること!」というルールさえ作れば、管理は本社の人間が一人いれば、机上から行うことが出来るからです。
また、何処の支店や営業所で工事データの提出を求められたとしても、その場で直ぐに工事データを印刷して提出することが出来るようになります。

ただ、クラウド上のストレージの問題点は、預けるファイルの容量に比例して費用が掛かることです。工事データ自体は、それほど大きいものではありませんが、バックデータとして預ける、大量に存在する工事写真の一枚当たり容量が大きい事が原因です。
そのため、「ファイルの書庫」では、写真ファイルを指定したサイズに圧縮して保管する機能を設けました。
これにより、工事データの保管に関する「利便性」と、「経済性」を両立することが出来ました。

このページの先頭へ